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自動着陸の定義は・・・空港誘導施設の精度・航空機装備・パイロットスキルにより・・意味合いが異なる・・

2013.07.17 Wed

自動着陸の定義は・・・空港誘導施設の精度・航空機装備・パイロットスキルにより・・意味合いが異なる・・

こんばんは,
サンフランシスコ国際空港で起きた,アシアナ航空機の事故ですが,
ロイターの発信によると.
大型航空機で高まる自動操縦への依存が,パイロットのマニュアル飛行能力や,
不測の事態への対応力を衰えさせた可能性をあらためて問う格好となったと配信しています.
NTSBも,今の段階で事故原因を断定するのは時期尚早と強調していますが,
航空業界の専門家らは,これまでにNTSBが明らかにした情報から,
今回の事故と近年の航空機事故には共通点があると指摘しています.
それが,パイロットの自動操縦への依存との事です.

今回の事故の場合ですが,着陸寸前まで自動操縦だったとの事ですね.
通常の操作なので,全く問題はないと思いますが・・
では,自動操縦における着陸の定義とはどうなっているか・・なんですが,
今回のアシアナ航空機の事故とは余り関係のない話になるかも知れませんが,
現在の航空機ですが,全自動で着陸する事が可能です(勿論様々な条件をクリアした上でですが,
B767以降に開発された航空機でバックアップの意味を含め自動操縦システムが3系統搭載されたものが
必要条件となっている様です.).
ですが,空港側の誘導設備にも条件があります.
これにより,自動着陸の定義が,若干異なってきます.
現在のILSのカテゴリーの定義は以下の通りです.
更にパイロットスキル気象についても条件となります.

カテゴリー             決心高 (DH)          滑走路視距離 (RVR)
カテゴリーI (CAT I)       2000ft以上           550m (1800ft) 以上または視程800m以上
カテゴリーII (CAT II)      100ft以上200ft未満     350m (1200ft) 以上
カテゴリーIIIA (CAT IIIA)   100ft未満または設定なし  200m (700ft) 以上
カテゴリーIIIB (CAT IIIB)   50ft未満または設定なし   50m (150ft) 以上、200m (700ft) 未満
カテゴリーIIIC (CAT IIIC)       −                −

決心高(DH)      :Decision Height ,着陸するかゴーアラウンドするかを決定する高度滑走路からの標高.
滑走路視距離 (RVR) :Runway Visual Range,滑走路面の標識、あるいは滑走路の輪郭または中心線を示す,
               灯火を識別できる最大の距離

このうち,現状精度の高いカテゴリー?については,国土交通省航空局技術部より
平成20年3月28日一部改正(国空航第1284号・国空機第1310号)として以下の様に定義されています.

・カテゴリー?A航行航行とは,航空機に搭載された着陸装置,着陸滑走制御装置の性能及びこれらの装置
 を含む機上装置の装備状況に応じ,DH,最低気象条件におけるRVR及びAH(警戒高:Alert Height)を設定し,
 自動操縦を基本モードとして精密進入及び着陸を行うもので,カテゴリー?A航行及びカテゴリー?B航行の総称をいう.

・カテゴリー?A航行とは
,DHがない,又はDHが100フィート(30メートル)未満であって,
 RVRが200メートル以上の場合に,主に自動操縦により計器着陸装置を利用して進入及び着陸を行
 う航行
をいう.

・カテゴリー?B航行とは,DHがない,又はDHが50フィート(15メートル)未満であって,
 RVRが50メートル以上200メートル未満の場合に,主に自動操縦により計器着陸装置を利用して
 進入,着陸及び着陸後の滑走
を行う航行をいう.

更に精度の高い,カテゴリーIIIC (CAT IIIC)については,DH及びRVRの設定はなく,
航空機およびパイロットの条件・気象条件が整えば,全く視界0でも,自動操縦にて着陸を行える事になりますが,
実際は,カテゴリーIIIC (CAT IIIC)での運用事例はない様です.その理由として,
視界0の条件下で着陸したとしても,着陸後のタキシングが困難である事.また支援車両や緊急車両等
視界0の条件下では稼働不能な為です.
よって,現実的な計器着陸方式としては,カテゴリーIIIB (CAT IIIB)がもっとも精度が高いと言えます. 

で,カテゴリー?以上の誘導設備があれば,条件により全自動着陸が可能と言えます.その条件なのですが,
空港側のILS にカテゴリー?Aまたはカテゴリー?Bが設置されており,
航空機の3系統の自動操縦装置オートスロットル電波高度計等が全て備わっており,
且つ,パイロットが資格を有している事,更に,気象(特に風)の条件も忘れてはならないですね.航空機にとって風は脅威です.
以上の条件で,全自動着陸は可能な様ですが,現在の所,国内では全自動着陸が行われた事は無い様です.
航空機側ですが,空港誘導設備と比較して航空機側の着陸誘導装置は進歩しており,カテゴリーIIIBでなく,
一番精度の低いカテゴリーI (CAT I) でも自動着陸は可能な様です.
尚,国内において,上記条件での全自動着陸の規定の認否については,残念わかりません.
もし,ご存じの方がいらっしゃれば・・ご教授お願い致します.

で,国内の空港でこの,カテゴリーIII(カテゴリーIIIB)を設置している空港ですが,以下の空港になります.
成田国際空港 (RWY16R)釧路空港(RWY17側)青森空港 (RWY24側)熊本空港 (RWY07)中部国際空港(RWY36側)広島空港(RWY19R側)新千歳空港 (RWY19R)これらの空港では地理条件により霧で視界不良になることが多かったり,
視界不良時に到着便が滞ると影響が大きい為です.

実際の着陸については,途中まで自動操縦,その後自動操縦を解除して手動操作による着陸を行うのが
一般的な様です.パイロットの話によると,臨機応変な対応を考慮して手動操作による着陸を行うとの事です.
また,自動着陸ハードランディングになるケースが多く.ソフトランデングさせる為には
手動操作による着陸が欠かせないとの事です.

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