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アシアナ機の事故,着陸失敗ではなく,着陸復興の失敗か??.(元国土交通省航空局飛行検査官コメント)

2013.07.12 Fri

アシアナ機の事故,着陸失敗ではなく,着陸復興の失敗か??.(元国土交通省航空局飛行検査官コメント)

こんにちは.
多くのメディアが,サンフランシスコ国際空港で発生した,アシアナ航空B777-200ER(HL7742)の事故を,
着陸失敗だと報じていますね.
航空専門のネットの情報ですが,
元国土交通省航空局飛行検査官のコメントが紹介されていますので,内容をアップしたいと思います.

その内容によると,この事故は着陸の失敗ではなく,着陸をやり直す着陸復行(ゴーアラウンド)の失敗というの説明です.
状況を正しく判断し,適切な着陸復行の手順を実施していれば,
地面への激突は避けられた可能性がわずかとはいえ、あったとの事.
但し,この説明については,米国家運輸安全委員会(NTSB)からの正式な発表を待たず,
安易な憶測で語ることは厳に慎むべき事ではあるが・・と注記してあります.

NTSBの発表によると,事故機では最終進入時の速度低下と,
スティックシェーカー(失速警報:操縦桿を振動させ失速を警告する機能)の作動が見られたの事.
この事から,間違いなく着陸間際の失速である.
航空機は完全に失速(コンプリートストール)すれば操縦不能となる.その為,
旅客機には完全な失速を防止する為、速度低下,すなわち迎え角の増大を警告する機能が装備されている.
それがスティックシェーカーなのだが,速度低下に気づかず,スティックシェーカーが作動した場合の完全失速を回避する回復操作では,
まず機首を水平程度にまで下げてエンジンパワーを最大にし,高度損失を最小限に抑えつつ速度を増加させねばならない.
パイロットであれば当たり前の訓練でも必ず行う失速からの回復操作なのだが,
ここで難しいのが高度損失を最小限に抑える事との説明.

最終進入中の,しかも地面が迫っている接地直前の状態で,この操作を行うことは極めて困難であり,
通常の失速からの回復操作を行っていたとしても,滑走路への激突は避けられなかったかもしれない.
しかし,伝えられている通り,また偶然撮影された映像を見る限りにおいて,事故機は機首上げを試みた様だ.
通常の着陸復行では,このような操作は間違いではない.
エンジンパワーを最大にし,機首を上げるのは一般的な着陸復行の手順である.
しかしスティックシェーカーが作動するほどの低速度で機首上げを行うのは,
ほぼアイドリング状態のエンジンがフルパワーに達するまでの,8秒程度のタイムラグを考えれば,
その間より完全な失速へ近づくことを意味しており,
パイロットが意図していたと思われる着陸復行は不可能であった可能性が高い

機首上げは着陸復行の手順としては正しく,一見機体が上昇しそうなものだが,
実はこれは失速からの回復操作では、最悪の手段なのだ.

では・・どう操縦すれば良かったのか??

事故を回避するには,意を決して地面に突っ込むつもりで機首を水平に戻し,地面ギリギリで水平に飛んで加速し,
ゆっくりと機首を上げ上昇する必要がある
.しかし,仮に機首を下げ水平飛行を試みても,
そして地面近くの航空機に対する地面効果(地面付近では揚力が増加する現象)を考慮しても,
地面との接触が避けられたかどうかはわからない.
もちろん,このような一か八かの判断を瞬時に下すことができたとも思えない.

問題は地面に激突する7秒よりも前にある!!

そもそも,通常の着陸復行さえ難しくしてしまった最終進入(アプローチ)自身に問題があったのは明らかだ.
メディアでは滑走路激突までの7秒間をさかんに論じているようだが、実はあまり意味はない。
この7秒以前にコックピットで何が起こっていたのか?これこそが事故原因の本質だろう.

この,元国土交通省航空局飛行検査官のコメントを聞いて,
事故機の映像を見ると,確かに着陸時に一旦上昇を試みた様にも見えますね.
ですが,ゴーアラウンドを行うにもタイミングが悪かったそんな感じにみえます.
ステックシェーカーに動作した時の高度が余りにも低く,エンジンをフルパワーに入れても,
反応するまで数秒を要するので,その間にスピードを保てず機体が失速したとの説明だと思います.
何れNTSBより,着陸しようとしていたのか?.それとも着陸やり直しを判断したのか??
詳しい説明が出されると思います.


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Category: 航空

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Comment

hirara >>URL

Unknown

事故調の結果見るまでは何とも言えませんが、
人為的なミス??。
事故直後の社長のコメントではベテラン揃いと
聞いたきがしたのですが腑に落ちません。国民性なのでしょうかね。

 一般論ですがゴーアラウンドではおっしゃる通り速度が重要です。小型機の経験でしかありませんので大型機とは違うのかも知れませんが、復行時エンジンの出力を
最大、ギアUP、速度を確認しつつフラップを徐々に上げ、この時の飛行機は強力な頭上げモーメントが発生するため、むしろ舵は押して速度増加のため水平姿勢を保ちます。Vxを確認して機首上げ上昇になるはずです。B7以前に小型機での訓練でも
基本の基本だと思いますが今回の事故では手順が守られていないとすると、いったい何なのでしょうね。 

Edit | 2013.07.17(Wed) 12:57:55

ja8094 >>URL

Unknown

hiraraさん.こんにちは.
まだNTSBから正式な事故報告は出てないですが,航空の専門家からは,人為ミスではとの見解が出ていますね.人為ミスと言うより.機械に頼りすぎてリカバリーできなかった,スキルの低さともいえるのではと思います.
失速からの回復としては,ノーズを下げて速度を稼ぐ,速度が付いた所で上昇回避となると思うのですが,今回は余りにも高度が低く回避不能だった様に見受けられます.やはり,ベテラン・・の対処とは言い難いのかも知れませんね.NTSBの調査は終わった様ですし,何らかのコメントが出そうですね.

Edit | 2013.07.17(Wed) 16:55:18

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