ANA,世界初ゆえの苦悩・・
2013.01.23 Wed
ANA,世界初ゆえの苦悩・・本日の日経電子版からの内容です.(要約,加筆してあります.)
ANAのB787の保有数は全保有機数の7%で,仮に使用停止が1年間続いても,
影響額は50億円程度と見込まれ,B787の機体の効率性からみて,
運用再開後のコスト削減効果は大きい.今回のトラブルを勘案しても,
将来的には十分にペイすると業界関係者はみるとの内容・・
では,あるが・・世界初ゆえの苦悩も・・・
B787の運航停止に伴い,
ANAでは,トラブルが起こった16日から今月28日までの欠航便数は371便に及び,
5万人以上の旅客に影響を及ぼすとの予測.
今月16日に飛行中のB787で発生した電源システム異常は,
ある程度の初期不良を覚悟していたANAにとっても許容範囲を超えるもので,
これまで7回の納入廷期で,約3年も初号機の受取時期が遅れた.
今回は欠航といった具体的な運航面で支障につながり,
利用者に実害が及んでいる点で,ANAにとってさらに深刻だ.
運航再開の時期が不透明で,日々の機材のやりくりに頭を悩ます日々が続いている.
ANAが抱えるB787はJALの7機を上回る17機.
エアラインは保有機材の稼働率を高めるため,
予備機は一定以上を置かないのがフルサービスのエアラインでもトレンドである..
ANAも同様で,多頻度に飛ばす国内線を中心にB787を展開しているため,
国内・国際を含む17機すべての便数はカバーできない状況が続いている.
一方,JALは保有が7機と限られ,便数も少ない国際線でしかB787を飛ばしておらず,
ANAよりやりくりしやすい.現時点では成田―サンディエゴ線だけが欠航対象で,
代替のB777の使用許可などが下りればすぐにでも運航再開したいという.
いずれにせよ,ANAは先行しただけに厳しい局面に立たされている.
それもローンチカスタマーが故の代償だと言える.
ローンチカスタマーとして・・
ANAが,B787を発注した2004年は世界的に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の余波で,
業績が伸び悩んだ.しかもその前にJALがJASと統合をし,存亡の危機に立たされたANAにとって,
B787は単なる機材の購入ではなく,ANA全体の”希望”を投影する機材となった.
ANAローンチ時に最大の50機のB787を発注.
ローンチカスタマーに並々ならぬ意欲を見せたのにはそれなりの理由がある,
何より設計段階からANAの意向を反映させることができる.
洗浄つきトイレや操作しやすい化粧扉など乗客に直接関わる箇所だけでなく,
パイロット用マスクの日本人にあった形状やエンジン内部の点検孔など多岐にわたる.
B787は工期短縮のためエアライン毎の極力オプションが認められないだけに,
他機に比べ設計から関わるメリットは大きい.
また,世界が注目する最新鋭機だけにローンチカスタマーとして宣伝効果も大きい.
ANA・・・.やはり,JALに比べて著しく知名度は低かった.
だが,B787の1番手として名乗りを上げた効果は大きく,
航空連合スターアライアンスでもANAの存在感は高まっている..
欧米の航空大手は,この1番手(ローンチカスタマー)になるのを避ける傾向がある,
ANAの合計発注66機を上回る100機発注する権利を持つ,
米アメリカン航空が1号機を納入するのは2014年.
欧米の航空大手では複雑な構造を持つ航空機の最新鋭機の品質が安定するには,
一定程度の時間がかかるという見方が根強くあるとの事.
ローンチマスタマー:世界ではじめて航空機を発注する会社のことを、
業界ではローンチカスタマーと言います.
各機種別のローンチカスタマーは以下の通り.
ボーイング社
B707:パンアメリカン航空
B727:イースタン航空
B737-100:ルフトハンザドイツ航空
B737-200:ユナイテッド航空
B737-300/500/700:サウスウエスト航空
B737-400:ピードモント航空
B737-600:スカンジナビア航空
B737-700ER:ANA
B737-900ER:ライオン・エア
B747-100/SP:パンアメリカン航空
B747-200: KLMオランダ航空
B747-300: スイスエア
B747-400: ノースウエスト航空
B747-100SR:JAL
B747-400D:JALB747-400ER:カンタス航空
B747-8I:ルフトハンザドイツ航空
B747-200F:ルフトハンザドイツ航空
B747-400F:カーゴルックス航空
B747-400ERF:エールフランス
B747-8F:カーゴルックス航空,キャセイパシフィック航空
B757-200: イースタン航空
B767-200: ユナイテッド航空
B767-300:JAL
B767-400ER:コンチネンタル航空
B777-200:ユナイテッド航空
B777-200ER:ブリティッシュエアウェイズ
B777-300:キャセイパシフィック航空
B777-300ER:JAL
B777-200LR:パキスタン国際航空
B777-200F:エールフランス
B777-8:ANA
DC-8 :ユナイテッド航空,デルタ航空
DC-9: デルタ航空
DC-10: アメリカン航空
MD-11:フィンランド航空
エアバス社
A300: エールフランス
A310: ルフトハンザドイツ航空,スイス航空
A320/A319/A330: エールアンテール
A340: エールフランス,ルフトハンザドイツ航空
A380-800:シンガポール航空.エミレーツ航空
ロッキード(現ロッキード・マーティン)
L-1011: イースタン航空
日本メーカー
YS-11:ANA
MRJ:ANA
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Category: 航空
Comment
かなぴ >>URL
Unknown
いつも良い情報ありがとうございます。
航空機の洗浄便座、ANAが最終的にJALと一緒にボーイングに申し出たから採用されたという側面はありますが、
JALとTOTOが共同で開発をスタートして、ボーイングに持って行ったというのが始まりですね。
ただ、一番最初に導入したのはANAのB777ですが、これはB737のスカイインテリアと同じで、787での採用の派生となるのですが787が遅れた結果逆転したアイテムの一つですね。
航空機の洗浄便座、ANAが最終的にJALと一緒にボーイングに申し出たから採用されたという側面はありますが、
JALとTOTOが共同で開発をスタートして、ボーイングに持って行ったというのが始まりですね。
ただ、一番最初に導入したのはANAのB777ですが、これはB737のスカイインテリアと同じで、787での採用の派生となるのですが787が遅れた結果逆転したアイテムの一つですね。
Edit | 2013.01.24(Thu) 14:16:18
ja8094 >>URL
Unknown
かなぴさん.こんばんは.
コメントありがとうございます.そうですね.最初はJALとTOTOの共同開発でしたね.ANAがボーイングに洗浄便座の導入を申し入れした最初の頃は理解されなかったらしいですよ.文化の違いと言うかでしょうが(笑),後,あまり公表されていませんが,B787の雷対策ですが,日本特有の雷対策(冬季雷)の学習の為Boeingのエンジニアが九大に赴き冬季雷を学習し,その結果が設計に反映されているそうですよ.まさに日本向けって感じがしますね.
コメントありがとうございます.そうですね.最初はJALとTOTOの共同開発でしたね.ANAがボーイングに洗浄便座の導入を申し入れした最初の頃は理解されなかったらしいですよ.文化の違いと言うかでしょうが(笑),後,あまり公表されていませんが,B787の雷対策ですが,日本特有の雷対策(冬季雷)の学習の為Boeingのエンジニアが九大に赴き冬季雷を学習し,その結果が設計に反映されているそうですよ.まさに日本向けって感じがしますね.
Edit | 2013.01.24(Thu) 21:34:14